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とある噂の取捨選択 そのいち

 
――学園都市
 
周りより、二十年も三十年も技術が進んでいると言われる場所。
科学的に開発された超能力が存在するその場所には、特有の噂話がある。
 
 
曰く、有り得ないはずの複数の能力を使う者。
曰く、有りとあらゆる能力を無効化する者。
曰く、公共の場にも関わらず衣服を脱ぐ者。
 
学園都市の都市伝説。
このお話は、その一ページを参照するものである。
 
 
曰く、見えていても決して触ることが出来ない者。
 
その名は『接触不能ゴースト
 
 
 
 
「つまり儚げな幽霊っ子ってことやね!」
 
「ここまでポジティブだといっそ清々しいにゃー」
 
 
コンビニで立ち読みしながら騒ぐ、迷惑な二人の友人を見ながら、上条当麻は溜め息を吐いた。
ぼうっと外に視線を向けると、妙に青白い男?が入ってくるところだった。
 
何故『?』が付いたのかと言えば、妙に艶のある黒の短髪を見たからでもあり、腰やら足やらが妙に細かったからでもある。
更に言えば、顔つきも男性的かといえばそうとも言えるが、どちらかというと中性的だ。
化粧でもして女性だと言い張れば、十人中九人は信じるんじゃないだろうか。
 
服装は黒のシャツに、黒のズボンと見事に黒尽くめ。
そのせいで、細い体が更に細く見える。
 
 
ガーと扉が開く音に紛れて、その人はこれまた黒い財布のようなものを落とした。
ここで話は変わるのだが、上条当麻という人間は基本的に善人である。
落ちた財布なんて見れば、ネコババよりも先に届けることが頭に浮かぶ。
 
 
「おーい。アンタ財布落としたぞ」
 
 
よって、声をかけても気付かない様子で歩いていくその人物を、上条当麻は引き止めた。
具体的には、肩に『右手』をかけることで。
胡乱な目付きで右手を一しきり眺めた後、その人物はようやく振り返った。
 
 
「……ふむ。はじめまして『幻想殺し』」
 
 
ざわりと上条当麻の毛が総毛立つ。
目の前の相手の言葉に、理解が及ばない。
 
 
「な、んで、その名前を」
 
「ふむ? そう驚くことではないが……ふむ。あえて言うなら私に触れることは難しいから、だな」
 
 
感情が浮かばないままの顔で、そう告げたその人物は、上条当麻の背後を見て首肯した。
呆然として、未だに言葉を発することが出来ない上条当麻を放って。
 
 
「ふむ。財布を落としていたか。礼を言わねばならまい」
 
 
そう言ったかと思うと、その人物は文字通り上条当麻の左半身をすり抜けて行った。
それこそ幽霊のように存在感無く、されど視界には移っているその姿。
 
 
「まさか……『接触不能』?」
 
 
未だに、上条当麻の二人の友人はあーだこーだと騒いでいる。
今、上条当麻の目の前で起こった不可思議を目撃した者は少ない。
目の前の黒尽くめのその人物は、財布を拾い上げてから、儚げに笑って答えた。
 
 
「正式名称は知られていないのだな……ふむ。私は『取捨選択』というのだよ」
 
 
 
 
 
 
――学園都市。
 
周りより、二十年も三十年も技術が進んでいると言われる場所。
科学的に開発された超能力の中でも、特に秀でた者達がいる。
 
 
方向を操る者
未知の物質を生み出す者。
強力な電気を操る者。
波であり粒子でもある電子を操る者。
精神を操る者
よく分からない何かを扱う者。
 
 
学園都市の超能力者レベル5
このお話は、その内の一人を追うものである。
 
 
触れるものを選ぶ者。
 
その名は『取捨選択セレクティブ
 
 
 
 
 
 
 
ざあざあと雨が降る。
その中を沢山の学生が傘をさして歩いている中、傘をさしていないのに全く濡れていない者がいる。
その彼は、決して雨には濡れず、他の人間とぶつかってもその体をすり抜けながら歩いていく。
 
体をすり抜けられた人間は、何かの能力であろうことを理解していても、驚く。
どういう能力を駆使しているのか……はたまたあれは唯の立体映像なのか。
 
上から下まで黒い彼は、人間なのかどうなのかを疑われながらも、その通りを歩いていた。
 
 
「……ふむ。スキルアウトか」
 
 
そんな彼の目に、一人の女学生が路地裏奥から、更に奥に、連れ込まれていく光景が飛び込んできた。
選択肢は多岐に渡る――無能力者なら通報だけして逃げる、なんて手を取ることもある。
 
 
「ふむ。確か風紀委員ジャッジメントの支部が近くにあったな」
 
 
警備員アンチスキルよりも早いだろうという判断か、彼は風紀委員に電話で場所と状況のみを告げた。
電話を受けた風紀委員は詳しい情報を聞こうとしたが、それより彼が電話を切る方が早かった。
携帯をポケットに押し込み、彼はふらりと路地裏に侵入する。
 
 
「ふむ。やはり『力』とはこういう時に使うべきだな」
 
 
ゆらりゆらりと体を揺らしながら、それでいて素早く、彼は路地裏を踏破していく。
 
 
 
 
 
 
 
通報によって知らされた路地裏に、すぐさま駆けつけてきた者がいる。
 
大能力レベル4空間移動テレポート能力者。
風紀委員活動第177支部所属。
 
常盤台の制服を身に纏い、その茶髪をツインテールにしている彼女の名前は白井黒子。
 
 
「これは……どういうことですの……?」
 
 
そこには、三人の男達が地面に転がされており、被害者であるだろう女生徒は気絶している。
そして、その中央には上から下まで黒尽くめの男が立っていた。
その男は黒子の方を一瞥したかと思うと、黒子とは逆の方向にゆらりゆらりと歩いていく。
 
 
「っ! 待ちなさい! 風紀委員ですの。事情を聞かせて頂きます!」
 
 
黒子は大声を張り上げるのだが、どうにも男は黒子に取り合うつもりが無いようで、振り返ることさえしない。
額に青筋を浮かべた黒子は、その男の前に立ちふさがる形で空間移動。
 
 
「風紀委員ですの! 事情を……」
 
 
しかし、彼は止まらない。
黒子との距離をどんどんと無造作に詰めていく。
3メートル……1メートル……50センチ……20センチ。
そこまで距離を詰められた所で、黒子は『戦闘の意思あり』とみなし、男の頭上に空間移動。
その男の脳天を、思い切り蹴飛ばした……ハズだった。
 
 
「……え?」
 
 
足が頭にめり込んだ……その光景を見て、黒子は自分の蹴りにそこまでの威力があったのかと。
この人を殺してしまったのではないのかと、一瞬狼狽した。
 
しかし、彼は至って無傷。
黒子のドロップキックが命中した素振りも見せず、ゆらりゆらり。
その姿を見て呆気に取られた黒子は、そのまま地面に墜落した。
――流石に受身は取ったが。
 
 
「一体……何者ですの……?」
 
 
ゆらりと路地裏から消えていった彼の背中を、黒子は地面に手をつきながら見上げていた。
 
 
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junq

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愉悦(´・ω・`)


好きな作家は、奈須きのこと西尾維新。
最近は成田良悟も。

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