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とある噂の取捨選択そのろく

学園都市には、たった一つだけ、たったの一つも窓の無いビルがある。
その明らかに建築基準法違反であるビルの隣。これまた明らかに不思議なビルが建っている。

見るからに不思議――その理由は、ビルの材質にある。
色は白。感触は柔らかく、かといって柔らかい訳でなし。
実験では一万度以上の熱に耐え、ダイヤモンドの研磨器が逆に削られ、音速の3倍で飛んでくるコインにも不動。
勿論そんな物質が地球上にある訳がない。それならば、出所は逆に特定出来る。


未元物質ダークマター……三位以上は規格外ってのは、マジっぽいな」

「しょうがねーよ。俺たちは超能力者レベル5とは言っても、そこらの能力者の延長線上でしかないんだし」


そんなビルの一室。円卓が置かれた会議室のような部屋で、二人の少年が話をしていた。
緑髪の少年と赤髪の少年。二人は円卓に並んで座っていた。
緑髪。ヒップホップ風の明るいファッションに身を包み、チェーンをジャラジャラ鳴らしている。
まれに口を『い』と『あ』の形で歌うように動かしている。
赤髪。そばかすが印象的だが、その他は良くある――悪く言えば個性の無い格好。
口でネガティブなことを言っても、表情は笑顔を保っている。
彼らも、超能力者レベル5
緑髪のほうが、第七位暴風空域ハリケーンの倉内飛鳥。
赤髪が第八位地上の星グランド・サンの紋付刀司。
……両方彼ら自身が付けた名前である。


「そこらの能力者の延長線上で悪かったわね」

「げ」

「第四位か」


新たに茶髪の少女が入室してくる。
直前の会話を不快に思ったようで、その表情は苛立たしげだ。
彼女が第四位超電磁砲レールガンの御坂美琴。
その後ろから、何人も人間が入ってくる。
第五位天地無用グラヴィテの秦永。
第六位原子崩しメルトダウナーの麦野沈利。
第十位至天福音エンジェルベルの神野雅樹
第十三位の削板軍覇。
学園都市の最高峰。超能力者レベル5の七人が、一堂に会していた。


「十二位の彼は置いといても、ちょっと欠席者が多いですね。


口を開いたのは、第十位。金髪と緑の目。整った顔立ち。背は大体150センチといったところ。
その彼が、空いている席を見やり、溜め息を吐いた。


「三位以上は全員欠席……九位と十一位もか。まぁ、過半数居ると考えて良しとしましょう」

「第三位は来ないか。そっかー、せっかくブチコロせると思ったのになぁ」

「は、お主程度が殺せる相手ではないわ」

「へぇ。先にアンタからブチコロして欲しい?」

「ちょ、ちょっと喧嘩しないで下さいよ!」


麦野沈利と秦永が険悪な雰囲気になったのを察し、第十位が能力を発動した。
涼やかな鈴の音と共に、麦野沈利の足から力が抜け、秦永の敵意が霧散する。


「腰が抜けちゃったわ。侮れないわね、第十位」

「中々やるのう」

「いえ、僕は攻撃能力がありませんから。このぐらい出来なければ超能力者レベル5と認められなかったんですよ」


謙遜するような語調ではあったが、十位は言外に『この程度ではない』と言っている。
それは第五位と第六位も同じ。彼らもこの程度とは思われたくないと思っている。


「なんでもいいから、早く話をしようじゃねーか。そろそろ祈りの時間なんだよ」

「ふん。邪神に祈るのはよいが、周りを巻き込むでない」

「だから、喧嘩は止めて下さいよ。


再度、第十位の能力が発動し、鈴の音色が響くと同時に第五位と第七位の体から力が抜けた。
感心したような目で見てくる第七位を無視して、第十位は声を張り上げた。


「それでは、第一回超能力者レベル5会議を始めます!」






「行かなくて良かったのですか、ご主人様、と」

「行っても大して話の内容は変わらないだろうし、仕切る人物も変わらないだろう。
更に言えば、内容は把握しているのだから、行く意味が無い」


取捨選択は慌てない。その耳についたイヤホンで、内容を全て聞いているから。
第五位は気付かない。先日、体に盗聴器を仕掛けられていたことを。


「ふむ。予想通り……というより、予想通り過ぎるな」


話の内容は、おおまかに言って最近の情勢に関したもの。
不自然な事件が多いこと。超能力者レベル5同士の戦闘が多いこと。
そして、アレイスターの動向について。


超能力者レベル5の戦闘については、大半が私だが……不自然な事件、か。
ふむ、臭うな」


調べると決めれば、会議の内容を聞くより、自分で調べた方が早い。
彼はゆっくりと、携帯を取り出した。






「ではもう一度説明させて頂きますね」


風紀委員第177支部。その一室で、三人の人間が集まっていた。
初春飾利。固法美偉。白井黒子。一人くらい男性は居ないんですか、ここ。


「先日、第十一学区にてほんの数十秒間、重力子の増加が観測されました。
これが、現地で撮影された写真です」


初春飾利がパソコンを操作すると、部屋の前面のモニターに映像が映る。
所々陥没し、車はもちろん、人間が通行することも困難となった道。
超能力によるものとしか思えない惨状。それも、かなり高レベルな。


「これは……」

「犯人の特定は済んでいますの? 初春」

「いえ、まだです。重力を操る大能力者レベル4に話を伺ったんですが……
これだけのことをやろうと思えば、五分は優にかかるとのことでした」

「ちょっと待ちなさい、初春。その言い方ではまるで……」

「これをやったのが、超能力者レベル5のようね?」


三人共が内心悟っていた事実。だが、声に出されたことで、はっきりとした。
やはり、そうでしかない。目を逸らそうとも、事実は事実なのだ。
場の空気がぴん、と緊張する。超能力者レベル5という名の意味は、学園都市ではそれだけ大きい。


「初春。超能力者レベル5の情報をモニターに出してくれる?」

「今出します」


そして、モニターに一位から十三位・・・までが並ぶ。
一位 一方通行
二位 未元物質
三位 取捨選択
四位 超電磁砲 御坂美琴
五位 天地無用 秦永
六位 原子崩し 麦野沈利
七位 暴風空域 倉内飛鳥
八位 地上の星 紋付刀司
九位 能力不明
十位 至天福音 神野雅樹
十一位 心理掌握 食蜂操祈
十二位 悪戯小僧
十三位 詳細不明 削板軍覇


「九位に関しては、名前どころか能力名も分かりませんでした」

「上等よ。能力名を見れば、大体絞れるわ」

「恐らく第五位、第八位、第九位のどれかですの」

「大穴で十三位、ですか。まぁ――」


はぁ、と三人共が溜め息を吐く。
どう考えても、打つ手が無い。どうしようも無い。


超能力者レベル5を拘束って、無理でしょ」

「無理でしょうねー」

「無理ですの」


白井黒子は思い出す。あんなの相手にしてられないですの。
初春飾利は思い出す。チート相手にどうしろと。
固法美偉は思考する。超能力者は別格よねぇ。やっぱり。
三者三様。つまるところ、『関わりたくねえなあ』ということである。抜かしおるわ。
はぁ、と三人共が溜め息を吐くと同時に、部屋の電話が鳴り出した。
幸い、固法美偉が右手を伸ばせば届く位置。
鳴り始めて五秒も経たずに、受話器は固法美偉の手に収まった。


「はい、もしもし……はい……はい……了解しました。
初春。白井さん。捜査は中止よ」

「……どういうことですの?」

「別に良いじゃないですか。関わらなくてよかったと思いましょうよ」

「犯人が分かったのよ」

「「は?」」

「向こうから言ってきたわ。犯人は第五位。
しかし、本人も反省しているので、これ以上の罪の追求は止めて欲しい、って」


ポカーン。正にそんな感じであった。
こんなにも簡単に行って良いのだろうか。


「そ、それじゃ、電話先は誰なんですか!?」

「第三位よ」

超能力者レベル5のバーゲンセールですの!?」


一切回りに配慮されていない絶叫が、辺りに響き渡った。
そして、二人は取り合えず他人の振りをした(その場に他人は居なかったが)

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junq

Author:junq
愉悦(´・ω・`)


好きな作家は、奈須きのこと西尾維新。
最近は成田良悟も。

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